どうする ALS  

         59歳でALSと診断された。定年退職まで、あと8ヶ月の頃だった。 ALSとともに4年目に入った。 その間に呼吸器が付き、手足が動かなくなった。 これからどうするのか…  日々の感情や考えを綴っていきたい。

4話 回顧録2 : 辛かった会社勤め

年が明け2022年1月、病院主治医A先生が「6月の定年退職まで頑張ろう」と目標を立てた。

バス停まで僅か100m足らず、何度も立ち止まり、マスクを外し呼吸を整える。そんな通勤が続いた。

杖を突かないと歩けなくなった。


遂には、自宅から会社までタクシーで通った。(帰りは妻の迎え)

 
正面入口に着けても、所属部(南端)まで、自力で辿り着くしかない。


仕事面では、随分と部員が助けてくれた。

しかし、トイレは代わりを頼めない。片手で杖を突き、もう片方でズボンのベルトを押さえて歩いた。尻の肉が落ち、ベルトを押さえないとズボンがスルリと脱げ落ちる。
焦りながらの不安定な歩行、いつ転んでもおかしくない。
辛かった。

大過なく勤めてきたサラリーマン人生。定年を目前にして「小便たれはった」の汚点は残したくない。
パンツタイプのおむつを履き、粗相しないよう必死だった。このような状態いつまで続けるのか…

「もう無理ちゃうか」誰かに止めて欲しかった。

5月下旬、主治医に「先生、もうあかん」と弱音を吐いた。
「よく頑張った、頑張り過ぎは進行を早める」と診断書を書いてくれた。
翌日が最後の出社になった。病室が空き次第入院することにした。

部員には迷惑を掛けてしまった。すまない気持ちで一杯だった。