ラジカット治療で入院をした。
満60歳になる月だ。
60年で一度の還暦の夕食は、一人ぼっちの病院食。
家で迎えていたら、普段より豪華だったと思う (実際は?だが)
でもしかたない。いつも通り美味しくいただいた。調理員さん、ご馳走様でした。
還暦月は定年退職月でもある。
入院しなければ、末日に役員フロアの貴賓室で、社長から辞令を受ける。
長年勤めた労いの言葉もあっただろう。(先輩に話では)
同僚が言った「30分ほど病院を出て来れないか」
サラリーマンには大きな節目だ。交付式に出席したいのは山々だ。
しかし、コロナ禍が出席を阻んだ。
後日、妻が会社を訪れた。
定年退職の辞令は、異動や昇進の辞令とは異なるものだった。
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二つ折りの台紙に、辞令と感謝状が添えてあった。
記念品もあった。
それを、誇らしく見つめた。そして淋しさもあった。
お世話になった皆様に、挨拶できず去ってしまったことが悔やまれた。